The Society of OSARAGI Jiro
Top Back Next


 


文春文庫版天皇の世紀 全12巻完結

『天皇の世紀』

 2010年1月から毎月一冊のペースで刊行してきた文春文庫版の『天皇の世紀』が同年12月に完結した。最終12巻には内容索引および人名索引が付されており、研究者はもとより、幕末史のファンにとっては必携の巻。

 この作品は、43年前の1967年に『朝日新聞』に連載されるとすぐに人気を博し、文学界や論壇からも大きな反響がわき起こった。73年に著者が病没したために中断を余儀なくされたが、1555回に及んだ内容は膨大なもので、明治天皇誕生から江戸城無血開城を経て戊辰戦争の開始までを描く一大叙事詩として文学史上にその名を刻んでいる。
 著者生前の69年2月から菊判による全10巻が刊行され(朝日新聞社)、また77年9月から78年4月まで全17巻の文庫版が発売された(同)。さらには、05年12月からは四六版による復刻版が全10巻で刊行(同)されるなど、いつの時代にあっても読者の数が衰えることを知らない。
 『天皇の世紀』の連載が始まった67年(昭和42という年は、明治維新から算えて100年目にあたり、翌年からは司馬遼太郎の「坂の上の雲」の連載産経新聞)が始まるなど、過去の歴史を検証しながら、新たな未来へ向けてその一歩を踏み出した年として記憶される。
 本年は横浜開港150周年という節目にあたり、それに関連して幕末維新のブームも過熱気味だが、本書をひもとくことによって明治維新の意味を捉えなおす得難い機会でもある。
 なお、解説の連載は大佛次郎研究会会員でもある福島行一(防衛大学校名誉教授・国文学者)による。大きな活字の本文は目にやさしく、長編といえども気軽に読める。

●判型・定価など
判型=文庫版全12巻
頁数=420頁〜470頁
定価=790円〜819円(+税
出版社=文藝春秋

 

<< Previous Next>>