![]() |
The Society of OSARAGI Jiro | ||||
|
●セレクション6冊。装画=竹久野生
[各巻のタイトルと収録作品] ●『 白い夜』( 268 頁) ●『 姉』( 270 頁) ●『 白い姉』( 302 頁) ●『 灰燼・露草』( 358 頁) ● 『 生きてゐる秀頼』( 318 頁) ● 『 天狗騒動記』( 334 頁) |
大佛次郎セレクション第一期完結 |
「自選集現代小説」( 10 巻、朝日新聞社)、「時代小説全集」( 24 巻、同)からもれていた作品のうち、特に入手困難な作品を収録した〈大佛次郎セレクション〉の第一期全6冊が完結した。全巻の編集と解説は、長らく大佛の謦咳に接し、『パリ燃ゆ』執筆時にはフランス語文献・資料整理に尽力した村上光彦(大佛次郎研究会会長)による。
[内容紹介] 「白い夜」は、日中戦争が本格化し始めた 30 年代横浜を舞台に、また「レスナー館」は明治の横浜を舞台にした作品。大佛作品を形成するジャンルのひとつ、「横浜物」を愛する読者には必読。 終戦直後の世相を描いた「姉」は、『終戦日記』(文春文庫)を知る読者なら、敗戦による混乱から立ち直れない時代を大佛がどう見ていたかがわかり、興趣は尽きない。 なお、今回収録された「新樹」は、『東京新聞』に連載された(光風社から単行本として刊行、また上記「自選現代小説」に収録)同名作品とは異なるもので、昭和 14 年( 1939 年)に『週刊朝日』に連載された別の作品。 「白い姉」は作家が小説を書き始めて最初の現代小説で、 1931 年(昭和 6 年)新聞に連載されたもの。主人公佐保子の健康な肉体と表情はまるで西洋人そのもので、当時世界的に流行したモダンガールを先取りしている。ラグビー選手のボーイフレンド、クーペ型の自動車、元町やニューグランドホテルでの食事やダンス……。至る所にちりばめられた最先端のモードが眩しく彼女をいろどるさまは新鮮。二十世紀文学の名に値する隠れた名作。 「灰燼」は 1938 年(昭和 13 年)に雑誌に連載が始まり、「露草」は 46 年(同 21 年)に地方紙に連載されたもので、二作とも明治初頭の横浜が舞台となっているが、ともに幕藩体制瓦解後の虚脱したような人物が描かれている。作中人物に見られる喪失感は、太平洋戦争によって茫然自失した日本国民と酷似し、敗戦による虚脱を予感していたかのようだ。 「生きてゐる秀頼」は、 1937 年(昭和 12 年)に『週刊朝日』に連載されたもので、「豊臣秀頼が大坂城落城の時に密かに脱出、九州に落ちのびた」という伝説を元にしている。これは平戸のイギリス人リチャード・コックスの日記にも紹介されている有名な伝説で、のちに『月の人』、それを改題した『月から来た人』のプロトタイプと言ってもよい作品。恋あり、友情あり、冒険ありのエンターテイメント小説であるが、娯楽に徹した伝奇小説の傑作。 |
|
|
「天狗騒動記」は、水戸天狗党を題材とした長編時代小説。著者は同じ題材として長編小説を三編書き、『天皇の世紀』でも詳しく触れている。今回収録されたものはその最初の試みで、大正 14 年( 1925 ) 4 月から 7 月まで『ポケット』誌に連載、同年 8 月に博文館から刊行されたもの。「鞍馬天狗」の好評とは裏腹に、その制縛から逃れようと自在に筆を走らせた作家27歳の時の作品。 |
|
| ●セレクション | |
| 2500 円〜 3000 円+税 発行=未知谷( 03-5281-3751 ) | |
|
|
|
| << Previous Next>> |