The Society of OSARAGI Jiro
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● 鞍馬天狗傑作選表紙カバー。装画=村上豊


@『角兵衛獅子』+ A『山嶽党奇談』

懐かしい「鞍馬天狗」が帰って来た。今回は08年1月からスタートするNHK木曜時代劇「鞍馬天狗」(夜8時よりNHK総合。全8回。主演=野村萬斎)に合わせての刊行であるが、選ばれたのはかつて『少年倶楽部』に連載され熱狂的に支持された二作品と、天狗シリーズ初期作品および初期短編が主となった(B『鬼面の老女』は近刊)。

@『 角兵衛獅子』

〈鞍馬天狗シリーズ〉の中で、もっとも有名な作品といってもよいだろう。博文館の雑誌『ポケット』に鞍馬天狗物が初登場したのち、いくつかの続編が書き継がれたが、当時『少年倶楽部』の編集長加藤謙一に懇願されて連載(昭和2年3月号から3年5月号)を始めたのがこの作品である。少年雑誌向けに登場した杉作少年は盗賊黒姫の吉兵衛とともに物語に彩りを添え、その活躍振りに少年達を熱狂させた。その後、アラカンこと嵐寛寿郎の鞍馬天狗、美空ひばりの杉作の組み合わせで映画となり、これまた大人気となった。鞍馬天狗と近藤勇が東寺の五重塔で行なう決闘シーンは、数ある時代劇のなかでも名場面として忘れ難い。

A『 山嶽党奇談』

「角兵衛獅子」に続いて『少年倶楽部』に連載された長編小説(昭和3年7月号から5年12月号)であるが、こちらも杉作少年や黒姫の吉兵衛が活躍する。白髪鬼と呼ばれる不気味な老人を首領とする暗殺集団「山嶽党」は、鞍馬天狗を仲間に引き入れようとして失敗するや、次々と攻撃を仕掛ける。これに宿敵近藤勇率いる新選組や京都所司代、また鞍馬天狗を陰から応援する西郷隆盛などが絡んで盛り上がりを見せる。秘密の地下道や合い言葉、謎の絵図といった伝奇小説的な仕掛けは、大佛次郎初期の傑作時代小説『照る日くもる日』(大正 15 年から昭和 2 年、『大阪朝日新聞』連載)を彷彿とさせ、読者をグイグイと引き込こんでゆくに違いない。

 

〈鞍馬天狗シリーズ〉
@『 角兵衛獅子』( 349 頁) 1429 円+税  A『 山嶽党奇談』( 483 頁) 3200 円+税

 

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